新卒に求めるグローバル人材とは vol.5

「一緒に仕事をしたい」と思えるようなチャーミングさを持っていますか?

2016年4月18日

味の素株式会社 http://www.ajinomoto.com/

本社所在地
東京都中央区京橋一丁目15番1号
創業
1909年5月20日
設立
1925年12月17日
資本金
798億6,300万円(2015年3月)
年商
1兆66億3,000万円(2015年3月期)

調味料の「味の素」がそのまま社名になっている同社の海外進出の歴史は古く、創業の翌年には台湾へ輸出を開始し、1917年にはニューヨークに事務所を開設しています。そして現在味の素グループでは、食品、アミノ酸、医薬品など、さまざまな事業を26の国・地域に拠点を置いて展開おり、商品を販売している国・地域は130以上、グループ全体の従業員数は約31,300人にものぼっており、日本と海外の売上比率は4:6だといいます。

今後も地域・商品の拡大を計画しており、「2020年にグローバル食品企業のトップ10入り」という目標に向け、日々邁進しているグローバル企業・味の素株式会社執行役員人事部長吉宮由真氏へインタビューを行なった。

(聞き手・グローバル就活ドットコム)

Q:まず味の素グループについてお聞かせください。

『味の素®』は1908年(明治41年)、東京帝国大学教授だった池田菊苗が「昆布のうま味成分はグルタミン酸ナトリウムである」ということを発見し、それを創業者の二代目鈴木三郎助が1909年に事業を開始したことから始まっています。それは世界初のうま味調味料であったことからもおわかりいただけるように、味の素グループの原点は「おいしく食べて健康づくり」という志にあります。

味の素グループは、アミノ酸技術を核に「食品」「アミノサイエンス」双方の領域で事業を展開しており、世界に類を見ない「グローバル健康貢献企業グループ」へと成長を続けています。

その道のりは困難であり、華やかなものではありません。一人ひとりの「意志」と「情熱」に基づいた粘り強い知恵と努力の積み重ねが、少しずつ道を切り拓いていくのです。

私たちは、一世紀にわたってあらたな道を切り拓いてきました。その中で培った共通の価値観が、「味の素グループWay」です。

「味の素グループWay」

“新しい価値の創造 Create New Value”
“開拓者精神 Pioneer Spirit”
“社会への貢献 Social Contribution”
“人を大切にする Value People”

一人ひとりが強い「意志」を持ち、私たちだからできることに、私たちなりのやりかたで挑戦を続けるからこそ、「情熱」が育まれています。そして、それぞれの個性を活かしたチームワークによって、個人では成しえないような“新しい価値の創造”を実現しています。

Q:御社は日本のメーカーとしては珍しく、役付き役員クラスを海外の社長・責任者として配置していますが、これは大手企業の中では稀有なケースですね。

たとえばASEAN、アフリカ、北米とでは、それぞれマーケットが違いますので、そこに対する我々の事業の展開の仕方は違っています。それぞれの地域で事業展開する際に、ある地域で成功したモデルをそのままグローバルに展開できるとは思っていません。これは非常に重要なことで、常にマーケットに基づいた形での事業展開をするため、必然的に適材適所の配置となるのです。

「この場所に一番ふさわしい人物は誰か」と考えたときに役付きの役員がいるケースもあれば、そうでない人もいるというだけで、決して特別な人事をしている意識はないのです。

これは、我々の事業の形が様々で、今グループ全体で2万人超が海外の従業員となった現在、この中でそれぞれの会社をマネジメントしていく人材というのは、職能の専門性だけではなく、「組織の最大の力を発揮させる力を持っているか」が非常に大切です。

Q:グローバル企業としてのマネジメントで意識している点はどういったことでしょうか?

私が考える「グローバル企業」という言葉の定義は、「世界で通用する会社である」という一点です。

それは日本企業の良さをあまねく世界に広めるということではなくて、国内外を見渡した時に、最高の管理手法やマネジメントの手法があれば、それを学ぶということにポイントがあります。我々が今全社的に行なっているアミノサイエンス分野の工場の改善運動は、ベルギーのグループ企業の管理手法を取り込んだもので、国内外の事業所に展開しています。

それは、グローバルに通用するという意味は、自分たち日本人にとっての使い勝手の善し悪しではなく、3分の2を数える海外の従業員を含めて、どういう形の仕組みが一番フェアでオープンなのか? そして効率が上がるのか? ということがポイントです。この観点で取り組んでいくことが結果的には良い結果を生んでいると思います。

Q:海外でマネジメントを行なう際に向いている人材はどのようなタイプだと思われますか?

新興のASEANやアフリカなど、何もないところからマーケットを開拓するという地域で仕事をしてもらう場合、体力的にも精神的にもタフな「番長型」が必要です。

一方でマーケットが成熟していく段階で、そこに必要とされる人材には高い専門性や高次の組織マネジメントができる「級長型」が求められます。但し付け加えますと、番長は級長になれる素地が十分にあります。

Q:味の素に入社した社員は、まず何を学ぶべきでしょうか? ご自身の経験をふまえて教えてください。

利他の心。すべてを吸収する素直な姿勢。自分以外すべてが「師」となります。失敗が糧になります。

入社して最初に配属されたのは工場の総務部でした。「社宅で野犬が住み着いたので何とかして欲しい」と連絡がきました。犬は捕まりません。上司に「どうしても見つかりません」と報告に行きました。その時「犬の気持ちになれ」と言われました。

人の気持ちになれとはよく聞きましたが、犬の気持ちになれとは。居心地の良さそうな場所を絞り込んだところ、犬の親子を発見しました。他人が聞いたら他愛のない話ですが、そこまで徹底したのか、と迫られた気がしました。。

入社して社会に出た最初の三年間は「型」を作る時期です。労を惜しまないこと。「雑巾掛け」という言葉がありますが、基本を学ぶということは、その後グローバルで活躍していただくときでも、非常に大事なことだと思います。挨拶の仕方からことば使い、会食の仕方、時間を守る等々、基本を身に着けて行く中で、信頼を得てゆくものです。皆さんが大きく成長するためには「型」が無いと、型破りにならないのです。その基本を入社して三年間で身につけておくというのは、そのあとの国内外の人ときっちりとしたネットワークを作っていく上でも非常に重要になっていくと思います。

Q:最近の日本の学生の印象についてお聞かせください。

堅実でバランスが取れている学生が多いですね。自己のキャリアに対して真摯です。

以前は「この会社で何をしたいのか」「この社会で何をしたいのか」ということについてのメッセージをしっかりもっている学生が多かったと感じていますが、最近の学生は学校の中で自分のキャリアを考えるときに、目線が自分に向きすぎているかもしれません。

そのせいか、昨今の学生の方は、自分自身の多様な生き方に関心を持っている人が多いと聞くわりには、「自らがどう見られているのか」「自分をどう表現することが就職に有利なのか」と必要以上に準備して就職活動に臨む学生の方が多いのではないかと感じます。しっかり学生生活を送ってきた方なら、自信を持ってありのままの自分で就職活動に臨んでいただきたいと思います。

Q:今の学生の就職活動の進め方についてどうお思いですか?

会社側としてみると、学生の方が会社を選ぶための準備期間、企業比較をする時間がもっとあっても良いかもしれません。

人によっては多数の企業から内定を得る学生がいます。各社が認める伸びしろが大きい学生には弊社に是非入社してほしいのですが、複数の内定を得た学生の方には、かならず「まだ気になっている会社があれば、納得がいくまでその会社をじっくりと見てきてほしい。その上で味の素が自分の会社人生を賭ける会社だと思えば、覚悟を決めて当社を選んでもらいたい」と伝えています。

そのような企業を比較選定する期間というものが、企業側だけではなく学生側にとってももう少し必要だと思っています。

Q:御社にとって必要な人材、求める人材像をお聞かせいただけますか。

5年先、10年先の社会の不透明性の中でのそれらの諸問題を解決できるのは、多様な人材です。その多様な人材を活かす仕組みを社内にどのように構築していくのか、というテーマは企業の存続に関わる重要項目です。

先行きが不透明な時代だからこそ、多様な価値観を許容し、自ら考え、判断、実行できる、成長意欲の高い人材が求められています。

Q:御社に入社を希望している人の、学生時代の過ごし方はどのようにお考えでしょうか?

会社に入りやすいための学生時代の過ごし方、というものは無いと考えています。まず「大学に入った意味は何か?」と考えた時に、クラブ活動をする、勉強に打ち込む、といった日々の過ごし方のトータルの部分が、就職の面接の際に、その人らしさとなって出てくると思います。漠然と過ごすのではなく、「自分らしさ」ということを大事にしていく姿勢がその人らしさの表れだと思います。

自分にとって毎日どう過ごしていくのかということと、結局会社に入って何をしたいのか、自分は社会に対してどういう関わりを持ちたいのかという問いを常に持ち続けていくという中で日々を大切にしていくということが大事だと思います。

自分の人生を自分でマネジメントするというのは非常に大事なことです。ある会社に入って自分のキャリアを作っていくのはOne Of Themに過ぎません。もちろん味の素で活躍してもらいたいと思う一方、もしその方にとって、弊社に働き続ける魅力がなければ、他の業界を含めて自分が活躍できる場所を探してもらうことに反対致しません。

Q:こんな学生に来て欲しいというイメージはありますか?

もちろんエントリーシートもきっちり見ますが、その中でも、非常に大事にしているのは一対一のインタビュー(面接)ですね。その際に見る大きなポイントは、「大学時代に何をやってきたのか?」ということです。何かに思い切り打ちこんだ学生の方ほど、大きな壁にぶつかっています。その壁に正面から向き合い、どう乗り越えてきたのか、それをインタビューで聞きたいですね。

そして、互いが切磋琢磨しながら尊敬し合うという関係性を築くことのできる人物であってほしい。そして「この人と仕事をしたい」と思わせるチャーミングさを持っている人物ですね。

吉宮由真(よしみや よしまさ)

味の素株式会社 執行役員 人事部長

1983年味の素株式会社入社。人事部門において、工場勤労部、人事部労務グループ長、グローバル人事グループ長、東京支社次長担当、本社事業部において甘味料事業部海外販売マーケティング担当。インドパキスタン、バングラデシュと中国の市場開拓に従事。その後事業管理総括。海外では、味の素中国(有)副総経理、広州事務所長、上海事務所長、インドネシア味の素社長としてのマネジメント業務。2013年7月より人事部長就任。

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